【感想】『蜜蜂と遠雷』ピアノって宇宙!

蜂蜜感想本、メディア

今回は恩田陸先生の『蜜蜂と遠雷』!

2016年下半期に直木賞を受賞、2017年に本屋大賞ををしたW受賞の名作中の名作!という事で手に取ったのですが本当に面白かった!結論、みんな読んで!

というわけで音楽の「お」の字も知らない僕が天才ピアニストが織りなす美しき世界の感想を!・・・まあさっき言った結論に尽きるんですけどね。


【感想】『蜜蜂と遠雷』

【書籍名】蜂蜜と遠雷
【著者名】恩田陸
【出版社】幻冬舎
【出版日】2016年9月23日


音楽を表現するこれでもかという多彩な言葉!表現力が圧巻。ピアノの演奏を通して、宇宙やあの世、世界の生い立ちや過去や未来、天上の世界、大げさじゃなくて本当にこんな感じです。

音楽こそ全て!世界を形成するモノ!そうなの!?いやそうに違いない!音楽は一瞬の物理法則かもしれない、しかし『一瞬が永遠になる』と恩田先生。かっこいい言葉。

ですよね、人生にしろ、なんにしろ、時間が長けりゃいいってわけじゃないですもんね。その一瞬の輝きを音楽は作り出せる!音楽は世界で通じる!音楽最高!・・・まあ不勉強なもので本の中のほとんどの作曲家や音楽が初見でした。己の無知さよ。

著者の博学ぶり、筆力、ストーリー、何もかも素晴らしかった。第一章の天才「風間塵」の登場でギュッと心を掴まれ、なんだか涙が出てワクワクしました。

亡くなったカリスマピアニスト・ホフマン師匠が残した『僕は爆弾をセットしておいたよ』という言葉。そして遺言通り美しい花火のように炸裂する「風間塵」の才能、その純粋無垢な天才ピアニストを中心に化学反応が起きて運命の奇跡のハーモニー。天才が出てきて世界が音楽で共鳴するっていうね。ありがちっぽいストーリーと言う人もいるかもしれないけど、恩田先生の筆力がそれを単調にさせない。物語自体が音楽を奏でているといっても過言では無い!


途中で夏目漱石の運慶の話ですかね、仏師を極めた人は木の中にいる仏様を彫り出しているだけなんだよ、ピアノも似たようなものかもしれない、みたいな話が出てくるんですけど、この恩田先生の本自体にも同じようなものを感じました。それぐらい僕にはどこからか取り出された世界の欠片の小説のように感じました。

「スターというのはね、以前から知っていたような気がするんだ」とかね、ふわっと気持ちよく言葉にしてくれる部分が随所にあります。音楽を読むっていう体験です、もはや。頭の中の想像の音楽がたくさん奏でられるんですよね、読んでいると。

で、なんでこんなに音楽詳しいの?ってぐらい恩田先生は芸術書なみに詳しいんですよ、まあ、音楽の芸術書があるのか、そんなもの無いのかもしれませんけど。恩田陸さんをWikipediaで調べてみるとやはりピアノを習っていたようですね、また年間300冊の読書量がこの方の筆力の源となっているようです。いやはやなんだか同じ人間とは思えないほどすごい!

大切な事なんですが、この本は音楽がわからない僕でも面白かった!最初不安だったんですけど、僕と同じように音楽を知らない人にこそ読んでほしい!僕と同じようにこの本と音楽で世界に広がりを感じる人が増えてほしい。


本にはたくさん知らない言葉や作曲家やピアノの曲が出てくるんですが、調べながら読むのも一興。本当、現代って便利ですよね。調べればほとんどが出てきます。特に主人公の風間くんがコンテストで弾いた『アフリカ幻想曲』!こんな曲があるんですね。YOUTUBEとかでも聴けるから知らない人は一度聞いてみてほしい。僕のつたない表現力ではこの曲を言い表せないんですけど良いのよ、これ。当時のアフリカに対する明るくて希望に溢れている気持ちが表されているから!

この本とクラシックに出会えて僕の人生は確実に豊かになりました。ショパン、ブラームス、バッハ、、、知っているようで何も知らなかった!YOUTUBEなどで音楽を調べて聴きながら読んでいたのですが発見ばかり!もはや体験でした。

で、ずっと思ってたんです。なぜ現代も優れたミュージシャンがいるはずなのにクラシックをありがたがっているのか?なぜ今もピカソやゴッホをみんなありがたがって絵画に何億円も出しているか?それは運慶のように宇宙にある完成されたものを取り出した最初の人たちの輝きのようなものなんじゃないかって。これは持論なので、まあ納得してもらえなくても良いんですけど。

ちなみに前回もピアノにまつわる本を手にして感想を書きました。偶然というか、まあ図書館に並べてあったのを適当に手に取ったら図書館スタッフのサービスでピアノシリーズ並べてくれていたみたいで、これも偶然というか必然ですかね。あとで気づきました。

前回は『羊と鋼の森』。若き調律師の男の子のお話でした。

そうですね、前回はピアノを調律する人の話、今回はピアノを弾く4人の物語。いや~ほんとピアノには縁のない人生を歩んできましたがここで邂逅するとは。ピアノっていえば清塚信也さんが生演奏したのを一度だけみたぐらいしか記憶がありません。

自分には音楽的才能が無いと思って敬遠していたし、今も生まれたての西田敏行よりピアノが弾けそうに無いけど、自分の世界をピアノで表現するって素敵なんだろうなって思いました。

ピアノじゃなくても世界から何かしら完璧なものを取り出せるようなものを自分なりに見つけられたら良いなーと思いました。そんな風に思えるほんと良い本でした!

全てのピアノを愛する人、小説を愛する人、そして音楽を知らずぼんやり生きている僕のような人、誰にでもおすすめです。

幸福

すべてよし!

きっとこの世界を見つめる優しい立体的な視線っていうのは恩田先生の視点なんでしょうね。僕ももっと勉強して本を読んで人に会って、必然の出会い、必然の奇跡みたいなものを探していきたいと思います。

だって僕たちも宇宙の一構成だもんね、僕たちなりに木の中にいる仏様を彫り出せると信じて生きていこうと思います。自分の人生の必然も感じる事のできる素晴らしい本でした、感謝!!

ちなみにタイトルの『遠雷』ってどこから来たの??誰か教えて。

今回はこの辺で。

皆様にいつも感謝しています、ありがとう!

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