今回は日本が誇る作家、伊坂幸太郎先生の『シーソーモンスター』!
ナインティナインの岡村隆史さんはラジオで言いました「伊坂幸太郎に外れナシ」、うん、僕もそう思います。詳しく無いけど。
伊坂幸太郎と東野圭吾がごっちゃになるこの僕が伊坂幸太郎先生の『シーソーモンスター』の感想を語る!
伊坂幸太郎『シーソーモンスター』感想。
前半 シーソーモンスター
読み終わって、このブログを書こうとして本をもう一度開いたら、最初の方のページに「海と山の伝承「螺旋」より」という小さな物語を発見。あちゃ~!ここに山の者と海の者の古来から対立し、闘うという物語の主軸のヒントが書いてありました。見出しにもあります。
—争いはなくならない。
—だとしたら、僕たちはどうすればいいんだろう。
とにかく、争いはある。伊坂先生はいう。
争いの合間に小休止があるだけじゃないのか。
と。物語の根底にあるのは「人と人との対立」「海族と山族の血筋をひく者同士はぶつかり合う宿命にある」との事。シーソーのバランスを取るように闘う。虫がすかないというのがありますがその究極版ですね。光と影、神と悪魔、犬と猿、水と油、相いれないものっているよね、って話です。

競い合え!
でも対立があるから、何かが生まれるかもしれないって事も示唆しています。ふむふむ。それが世界を撹拌し、何かを生み出す。
で、最初に「螺旋」の話が載っているんですが、一冊読み終わって気づきました、いっつもこうだよ!僕の人生。これって「小説BOC」がやっている「螺旋」プロジェクトという8作家による壮大な文芸競作企画らしいですね!「小説BOC」創刊おめでとう。活字離れの時代に創刊するその気概やよし。
僕ね、本のタイトルからシーソーモンスターってドラクエに出てくるミミックみたいなモンスターが出てくると思ってたんですよ。伊坂先生をあまり知らないのでスティーブン・キング的な人食いモンスターが出てくると思ってたら全然違いますね。最初の大きなヒントをスルーした事で僕のシーソーも大きく傾いたまま、読了しました。
感想はやっぱり面白かった!嫁姑のいさかいが大事(おおごと)になるっていう話なんですけど、まあ伊坂先生の本ってマンガ読んでいるよりマンガ的な展開でコミカルでシュールでエンタテインメントとして面白い!
「んなわけないだろ!」って設定なんですけど読み物として非常に面白かったですね。
人生にはため息がつきまとう
文中に出てくる言葉です。争いは無くならない、ため息も無くならない。まあ嫁姑問題で悩んでいる方が読んでもなんの救いにもならないかもしれませんが争いの中で「折り合いをつける」のが大事、と小説は語ります。
端から見ればなんでも無いような小さないさかいも本人に取ってみれば大きな問題ですよね。巷にあふれる「人生相談」を読めばわかります。嫁姑はまあなんだかすごい感じになっていくんですけど、旦那さんだけボンヤリと生きていてそれがまた良いんですよね。
奥さんが考え事をするシーンで一人脳内会議を開くんですね、脳の中で反対意見をいう人を立てて考えをまとめるというやり方なんですけどこれは使える!勉強になりました。
とにかく勝敗も大事ですが大事なのはどう戦うかって事かもしれませんね。まあエンターテイメントと面白い!やはり伊坂幸太郎に外れナシ!
後半 スピンモンスター
前半が嫁姑のパワー対決「シーソー」だとしたら、後半は不幸な交通事故「スピン」に見舞われた男たちの物語。
前半は「バブル時代」を描き、後半は「未来の世界」を描きます。今思うと「バブル時代」って滑稽ですよね、「未来の世界」の人工知能の世界もなんだか滑稽に変わりはないんですけど。
今回も相容れない男たちが相容れないんですけど、なぜか人生で関わり合ってしまうんですね。それも宿命。
「生き物は、遺伝子が生きながらえるための乗り物に過ぎない」
「争いが起きないことには何も進まない」
「対立のために対立する」
後半では前半のシーソーモンスターに出てくる「嫁」が再登場します。宿命のように繋がっていますね。
前半の嫁姑は深刻は深刻ですが、どこかユーモラスなところもあるんですが、後半の男たちの対立はどこか物悲しくて、そもそも自分ってなんなの?という問題を突きつけてきます。
僕らって遺伝子にもてあそばれるただの骨と皮に過ぎないかもしれませんね。遺伝子って情報ですよね、人工知能もインターネットも情報の塊、世界の全ては情報を運ぶために、情報を運ぶ優秀なものを選抜するためだけに存在しているのかもしれません。
争い合って優秀な遺伝子が遺り、また遺った遺伝子が争い合って、それでも本当に優秀になっているんですかね?人ってそもそも優秀になってどうする?情報を100年先に伝えたってそれがどうなる?
結局の所、「人生にはため息がつきまとう」ふむ。
まあ虚しいことは虚しい。だからこういう面白い本を読んで、面白い企画に参加して憂さ晴らしをしようではありませんか!生きていくんだもん、何かと戦わなきゃいけないよね。よきファイトを!
しかし小説BOCの試み面白いですよね!違う作品を読んでみたくなりました。
というわけで今回はこんな感じで。
やはり伊坂幸太郎先生、読みやすくて面白かったです。皆様、いつもありがとうございます!
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