難書 ゲーテ著『ファウスト』感想

Faust本、メディア

今回はゲーテ著、ファウスト。難しそうだけど勇気を持って読んでみました!

まあ、本当に難しかったです!そもそもギリシャ神話と中世のキリスト教の知識が無いと何が何やら。話も飛ぶしね。時空と一緒に。とにかくすごいのはゲーテが60年かけて書いた戯曲!生涯をかけて書き上げたんですね。ほんと主人公のファウストを何か重なるところがあります。小説とちょっと違って、ちょいちょい「(両人退場)」なんていう劇っぽい言い回しがあります。

読みづらいんだか読みづらくないんだかもわからない。その前に言葉や登場人物が難解すぎる…

でも難しいけどなんだか面白い!知的好奇心をくすぐられます。とにかく専門家をもってしても全貌がはっきりしないという大作。ドイツ文学の最高傑作のひとつと呼ばれているのもわかります。書いて200年近く経つのに色あせない!

僕は実は手塚治虫先生の『ネオ・ファウスト』って未完の大作を読んでずっと気になっていました。

ファウストにはギリシャ神話の神様とか、よくゲームに登場する神々の名前が出てきて興味をそそられ、読む者の知性と教養が試されます。一種、いわくつきというか本そのものが都市伝説っぽいですよね。

で、ファウストには元となる伝説があります。錬金術師ファウスト。

高名な錬金術師ドクトル・ファウストゥスの伝説を下敷きとして、ゲーテがほぼその一生を掛けて完成させた大作である。ファウスト博士は、錬金術や占星術を使う黒魔術師であるとの噂に包まれ、悪魔と契約して最後には魂を奪われ体を四散されたと云う奇怪な伝説、風聞が囁かれていた。(引用・抜粋:Wikipedia)

この伝説を元にゲーテは詩劇『ファウスト』を書いたのですね。というか一体全体こんなものをどうやって劇で表現しようとしたのでしょうか?やはり天才。現在の技術をもってもこの世界観を表現するのは不可能と思います。

まあ、まず物語が面白いです。Wikipediaのあらすじを参考に感想をまとめてみましょう!


ゲーテ著『ファウスト』感想

1.天上の序曲

天使たち(ラファエル、ミカエル、ガブリエル)の合唱と共に壮麗に幕開けられた舞台に、誘惑の悪魔メフィストーフェレス(以下メフィスト)が滑稽な台詞回しでひょっこりと現れ、主(神)に対して一つの賭けを持ち掛ける。メフィストは「人間どもは、あなたから与えられた理性をろくな事に使っていやしないじゃないですか」と嘲り、主はそれに対して「常に向上の努力を成す者」の代表としてファウスト博士を挙げ、「今はまだ混乱した状態で生きているが、いずれは正しい道へと導いてやるつもりである」と述べる。メフィストはそれを面白がり、ファウストの魂を悪の道へと引き摺り込めるかどうかの賭けを持ちかける。主は、「人間は努力するかぎり迷うもの」と答えてその賭けに乗り、かくしてメフィストはファウストを誘惑することとなる。(引用・抜粋:Wikipedia)

神様も認める真理・追究の権化、学者のファウスト。それをメフィストフェレスという悪魔が快楽を与え悪の道に引きずりこもうとする賭けを神様とします。神様も神様で、気楽に悪魔と話して賭けに乗っています。どうなんでしょうね、この辺。

メフィストフェレスっていう悪魔はどれほどのものかわかりませんがそれなりの妖術(?)を自由自在に操ります。常に否定する霊というポジション。神様と悪魔と賢人の三つ巴。すでにこの部分で面白いですね。

2.第一部

ファウストが悪魔メフィストと出会い、死後の魂の服従を交換条件に、現世で人生のあらゆる快楽や悲哀を体験させるという契約を交わす。ファウストは素朴な街娘グレートヒェンと恋をし、とうとう子供を身籠らせる。そして逢引の邪魔となる彼女の母親を毒殺し、彼女の兄をも決闘の末に殺す。そうして魔女の祭典「ワルプルギスの夜」に参加して帰ってくると、赤子殺しの罪で逮捕された彼女との悲しい別れが待っていた。(引用・抜粋:Wikipedia)

というわけで悪魔メフィストはファウスト博士のしもべとなり、若返らせたり、あらゆる快楽や悲哀を経験させ、堕落の道に引き込みます。ファウストがそれに対して、快楽でたぶらかされたなら、あの世のメフィストの家来になってやると言います。「とまれ、お前はあまりにも美しい」このキーワードを言ったらファウストの負け。メフィストに魂をくれてやる事になります。

というかWikipediaであらすじを見るとすでにファウスト博士、やらかしすぎですね。あらすじだけ読んでいると極悪非道ですが、本ではまあ止む無しというか流れがそうさせているとことろもあります。

とにかく悪魔メフィストと学者ファウストの時空を超えた旅をするんですが、結局、女性に走るファウスト!知の探究者じゃないかい!しっかりせい!
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魔女のパーティに行ったり、少女グレートヒェンに恋に落ちたりと世界を味わうんですが、どっちが悪魔かと思うほどファウストは悪魔メフィストへめっちゃ悪口を言うし、わがまま放題だし、すごいですね。メフィストの方が大人に見えます。

でもさすが悪魔、ファウストの悪口に全然傷つく様子もありません。なんだか良いコンビですね。

結局、ファウストに見初められたグレートヒェンは不幸になるし…かわいそう!というかグレートヒェンとマルガレーテって同一人物なんですね。ややこしい。結局、グレートヒェンにわたしはもう二度と気の晴れる時なんかありはしないわ。なんて言わせて赤ちゃん殺しの罪で牢屋に入ってしまいます。そりゃないよ、ファウスト!

なんていうか誰かの快楽を満たす時って他の誰かが不幸になるってありふれた話ですけどなんだか寂しいですよね。仏教は言います、執着を捨てろ、と。

ダライ・ラマの記事でも読んでくれよ!

3.第二部

皇帝の下に仕えるファウストは、メフィストの助けを借りて国家の経済再建を果たす。その後、絶世の美女ヘレネーを求めて、人造人間ホムンクルスやメフィスト達と共にギリシャ神話の世界へと旅立つ。ファウストはヘレネーと結婚し、一男を儲けるが、血気に逸るその息子はやがて死んでしまう。現実世界に帰って来たファウストは、巧みな戦術で皇帝を戦勝へと導き、広大な所領を授けられる。やがて海を埋め立てる大事業に乗り出すが、灰色の女「憂い」によって両眼を失明させられる。そしてメフィストと手下の悪魔達が墓穴を掘る音を、民衆の弛まぬ鋤鍬の音だと信じ込み、その時に夢想する幸福な瞬間について「この瞬間が止まってほしい」とも言えるのだと云う想いを抱きながら死ぬ。その魂は、賭けに勝ったから自分の物だとするメフィストフェレスの意に反して、かつての恋人グレートヒェンの天上での祈りによって救済される。(引用・抜粋:Wikipedia)

いよいよ最終章、王様から領土をもらったり、美の象徴ヘレネーを手に入れたりと好き勝手するファウストですが、ってかメフィスト、そんなにしなくてもいいんじゃない、っていうほど尽くし過ぎ!それでとうとう謎の「憂い」という存在で盲目になるファウスト。これもなんだか急なんだよな~。

結局、メフィストの賭けに負けて魂を取られようとするけど、謎の天使の軍勢とと元カノのグレートヒェンの力でメフィストにいっぱい食わせて天の国へと旅立つ。この辺の描写も難しすぎて解説を読まなければわかりませんでした。

あんなひどい目に遭わされてもファウストを祈るグレートヒェンが真の勝者ではないでしょうか。愛の力の勝利ですね!

それで途中でホムンクルスとかと一緒に旅しているけど、何をしているかいまいちわからないし、僕の読解力では何してるの?といったレベル。あとで調べたら錬金術の中にそういう人造人間的なものを造るという伝承もあったみたいですね。調べなきゃ全然わからない。
alchemist

結局、人間が快楽や知識を追い求める事そのものがはかない。それでも人って未完成のまま、完成を目指すべきだと思いますけどね。

何度読んでもゲーテの書きたいことは理解できないかもしれないけど『ファウスト』名作の名にふさわしい、難解で知識欲をくすぐる本でした。

わからないのを楽しむ、それが面白い!人生と一緒ですな!

今回の本

【書籍名】ファウスト
【著者名】ゲーテ
【出版社】新潮文庫
【出版日】昭和43年2月25日


なんと日本語版の本も僕が生まれる前に出版!ゲーテが書いたのが200年前だとしてやはりこの本自体が不思議な魔力を持っていますね。古くは森鴎外が翻訳したという事ですが、森鴎外も都市伝説クラスの人ですよね。名前がカッコいい。

死ぬまでに一度は読んでほしい!そんな本です。なんとなく聞いたことのあるフレーズや登場人物?神様なんかも出てきて色んな創作がファウストに影響を受けているんだな、と思いました。この世界で知識を求める人、快楽を求める人がどうなっていくのかそれをこの物語を通して感じてほしいですね。何はともあれ、天国っていつも穏やかなイメージだよね。行きたいよね。

[ファウスト]しかしね、悪魔は年寄りだ、年をとったら悪魔の言う事もわかるでしょう。

それでは今回はこの辺で。

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