シャーデンフロイデ、他人の不幸は蜜の味。愛と正義のネット不謹慎狩り?

シャーデンフロイデ本、メディア

愛と正義の名の下、喜びのうちに発揮されるブレーキのない残虐性、攻撃性。

・なぜ、愛情深い人が「妬み」、「足をひっぱり」事に喜びを感じるのか?

・なぜ、正義の人々が集団で人を叩くのか?

今回は中野信子先生の『シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感』を読み、愛と正義の副作用について学びました。

息苦しさを感じる事はありませんか?愛、正義、そういった人間性と呼ばれるものの根幹に中野先生は疑問を投げかけます。

・さあ、今日も脳の快楽を求めて不謹慎狩りをしよう!

・あっちでアイツだけが目立って得をしている、さあ叩きにいこう!

・ルールを守っている我々は正しい。さあ、足を引っ張りあおう!

戦う人
この美しき世界をいくつかのキーワードから考えてみました。


シャーデンフロイデ、他人の不幸は蜜の味。愛と正義のネット不謹慎狩り?

まず、中野信子先生とは?

中野 信子(なかの のぶこ、1975年 – )は、日本の認知神経科学者、評論家。
東京都出身。東日本国際大学特任教授。株式会社ビッグベン所属。MENSA元会員。旧名は原信子。学位は博士(医学)(東京大学)。

(引用・抜粋:ウィキペディア)

テレビやラジオで知ってる方も多いと思います。MENSA憧れます。カッコいいですよね。この発言が既に頭が悪いのかもしれませんけど。

中野先生は聡明で魅力的な女性です。様々なニュースを脳科学から人間の行動を分析し、素人の我々にもわかりやすく解説してくれます。
brain

今回、本を読んでやはりとても賢く論理的にものを考える人だと思いました。

僕のような人間から見れば、論理的に考え過ぎて、他人に見えないものまで背負ってしんどくならないかな?なんていらぬ心配までしてしまいます。

とにかく見かけは穏やかですが鋭い知性の才能溢れる人です。

愛深きゆえのシャーデンフロイデ?

シャーデンフロイデは誰かが失敗した時に思わず湧き起こってしまう喜びの感情。

ドイツ語でフロイデは喜び、 シャーデンは毒を意味します。

・一人だけ得をしているような状態の人

・一人だけ目立っている状態の人

が引きずり下ろされるとメシウマ状態になる。「あいつの不幸で今日も飯がウマい!」残念ながら僕にもあります。
メシウマ

このメシウマ状態は実際のところ、物質的に得をするわけではありません。それでもみんな抱えている黒い喜び。

ちなみにサイコパスは自分の利益にならないことには興味がないので意外にこの感情は無いみたいです。サイコパスが足を引っ張る時は現実的な利益がもたらされる時です。それも怖いですけど。

さて醜くも魅力のあるシャーデンフロイデ、どこからくるのでしょう?

幸せホルモン、オキシトシン

シャーデンフロイデには「愛と絆のホルモン」「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンが密接に関わっていると中野先生は言います。

ここではなじみやすくするため、シャーデンフロイデ状態を「シャフロる」と表現します。これは僕の造語なので中野先生は関係ありません。

で、オキシトシンは「愛着を形成します」。人と人の結びつきを増強します。

基本的には良きものとされ、不安を軽減する効果もあるようです。母親にオキシトシンが無いと人類は死滅しているでしょう。
baby

だがその反面、愛着や人と人とのつながりを破壊するルール逸脱者は許せない。オキシトシンは愛情と共に妬みの感情を増強します。

シャフロった人はルール逸脱者を排除しようと、見つけ出しさらしあげます。

・その集団のルールを守らない人。

・集団の中でみんなより得してるように見える人。

愛と絆を壊しうる人、共同体(家族)を揺るがす人すべてが対象です。

なんでもいい加減に解釈して行動し他人の神経を逆なでする僕はよく女性に怒られるんですけど、シャフロあおり運転状態だったんですね。気を付けよう。ああ、息苦しい!

「不倫」を糾弾するのも、ルールを逸脱している人が許せないからです。

浮気性の人は通常の共同体(家族)を壊しかねませんからね。
浮気

まあ浮気性の人も種の保存を考えて行動してるんですけど、穏やかに”つがい”で暮らしている夫婦にとってはたまったもんじゃないですよね。

考え方の異なる「二つの制度」がぶつかり糾弾が始まる。これは人間の宿命と言えます。その場合、数の多い方が正義でありルールとなりそうです。

「浮気」については僕は良くも悪くも縁が無いので、ここはノーシャフロでフィニッシュ。ありがとうございます!

正義感が起こすサンクション=制裁。

愛の次は正義。

「ズルしている誰かを許せず、そんな人に対してはどんな暴力を振るっても許される」そのような行為などをサンクション=制裁と言うそうです。
老人

中野先生は公共交通機関で暴力を振るってしまう暴走老人を例に取り、サンクションとは「正義漢」と皮肉っています。年を取ると前頭葉のブレーキが弱まってたがが外れた正義漢おじさんが誕生するそうですね。男性陣、気をつけましょう 。

脳はいくつになっても成長する可能性があるので瞑想が良いかもしれませんけど。

日本人は災害が多い土地で暮らし不安を感じやすく、元々協力し合って米を作ってる民族がゆえに性質的に集団生活を重要視します。時に個人より集団のルール、正義を大事にします。

不謹慎な人は集団を破壊する可能性がありますから共同体を守ろうとサンクションは発生はします。

サンクションが全く機能しない文明はすぐに滅びるそうです。ゆえに必要悪というか、文明を維持するための悪性の正義かもしれません。

幸福のうちに人に鉄槌を下すんです。おっかない。
怒り

厄介な事に「絆を強くしよう」「みんなのために何かしよう」そういう善なる集団では同調圧力が起こりやすく不謹慎狩り、サンクションが起こりやすいという事です。

「いじめはやめよう」、「いじめは絶対にダメだ」これもそうですね。

この空気の中では、いじめは逆に醸造しやすいとも言っています。単一的なスローガン、絶対的なルールは破った者が目立ち、激しく責め立てられやすい構造を作ってしまいます。

ところでサンクションには仕返しのリスクがあります。それでも、リスクを超えてなぜ人は不謹慎狩りを行うのか?

サンクションのご褒美はドーパミンだからです。時に性行為より強い快楽があると言います。世のため人のためにと思った正義の執行には快感が対価として支払われます。

そうやって、歪んだ正義の喜びと快楽のご褒美のために今日も不謹慎狩りは続きます。恐ろしい。

脳は楽したがる。

私たち人間は「思考停止できる材料」が大好きなのです。認知負荷に疲れた脳は思考停止のチャンスいつも探していると言っても過言ではありません。
(引用・抜粋:シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感)

中野先生はこう言います。確かに僕も少し考えれば済む事を面倒に思ったりすることはよくあります。そうして人生がより面倒になるんですけどね。

日本人の約70パーセントは決定を面倒と思い、嫌うそうです。「考えたくないけど間違いたくない」そんなムシの良いことを考えているそうです。すごくわかります。

神様がなんでも決めてくれれば良いのになあ!
なまける

「常に誰かに決めて欲しい」、時に人は自分の本質や未来まで占いで決めて欲しいとさえ思います。これも非常によくわかる。

これの何が怖いのかというと、考えるのが面倒なあまり、

・結果的に集団が正しいだろう。

・間違っていようが数の多い叩く側の集団に身を置こう。

・理由は知らないがとにかくルールを守ろう。

こんな危険な思考停止状態になるんですね。

そしてもっと怖いのはこれを利用とする人がいる事です。不必要に分断や対立をあおる人がいます。都合よくコントロールされないようにしましょう。必要ないのに誰かに憎しみを持っていませんか?

考えるのは面倒です!それでも立ち止まってよく考えましょうね。その行動、賢いあなたにふさわしいですか?

叩き合いの無限ループ

ネットで見る「人を叩き、その人も叩かれる」無限ループ。著書に一例があります。

以前一人の子供の作文はネット上で話題を呼びました。「もし悪い人がいたらその人を排除すればいい」といった内容で、何というディストピアだと批判の意見が相次ぎました。
(引用・抜粋:シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感)

この時、悪い人が叩く悪い人をまた叩くというスパイラルが発生したようです。趣味の悪いマウント合戦。

この話を聞いて中国の想像上の怪物「とん」を思い出します。『蒼天航路』の漫画のアタマにも登場しました。
monster

何でも食べてしまう欲深い巨大な怪物「とん」。最後は太陽を飲み込み、自分自身をも飲み込んでも「無」となってしまいましたとさ。

僕もたまにネットを見ていると悪い感情が生まれることがあります。それでも脳の快楽のために自分のしっぽを飲み込まないようにしましょう。

前回、僕が選んだダライラマの本に「感情は本質的ではない」という言葉がありました。感情は一時的なもの。

感情と知性を絶えず戦わせるんです。

今回の本

【書籍名】シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感
【著者名】中野信子
【出版社】幻冬舎
【出版日】2018年1月20日


本自体は薄くて読みやすかったのですが、意外な角度からの様々な考察、興味深い内容がたくさんありました。なかなか言葉では表現しにくい複雑な現象を切れ味鋭く、中野先生が表現してくれて気持ちよかったです。もっと他の本を読みたくなりました。

面白いなと思ったのが、日本人は、ネットの匿名性で自分を守りつつ、同時に承認欲求を満たそうとする。というような内容の一文でした。

なんて器用で滑稽なんだろうと自分自身を振り返り思いました。

結局、シャーデンフロイデもサンクションも社会や集団を維持するために必要なものです。今、生き残ってる人々はその恩恵があったからここにいるわけですね。
社会

ゆえに処方箋はありません。ただ傾向を知ればブレーキをかけられるきっかけになると思います。正体を知る事が大切なんだろうと思います。

叩く人は振り返れば、叩かれている。ネット辻斬りの現代。

思考停止することなく風通しの良い社会をみんなで作って生きましょう!

世界は永遠に完成はしない。それが良いんです!

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